測量とは?「与えられた地球上の任意の1点の位置と高さを決定する事。」になります

三角測量
三角点
 
・測量方法のひとつ。昔は距離を正確に測ることが出来なかったため、測点を三角形状になるよう  に配置し、その内角を測ることにより関連する点の位置及び点間の距離を求めた。配置した点が  三角形なることから三角測量と呼ばれ、設置された点(基準点)を三角点と呼ぶ。三角点は点間  距離と配点密度により、1等〜4等三角に分けられる。
・距離の測れない三角形の一辺に、距離を与える方法は、精密な鋼巻尺によって観測した基線(平  地部に設けられた2点間。
25kmの長さ)を、小さな三角網に関連させ、次第に大きな三角形の 一辺に増大していきます。
・この測量方法は今は行われていません。
 
多角測量  ・三角測量が面であるのに対し、測点を路線状に繋げ各測点の内角と距離を測り新測点を決定する  測量。線状に連なる多くの測点間を観測をすることから多角測量と言う。また、形状的に見てジ  グザグに横切って進む事が多いのでトラバース(Traverse)測量とも呼ばれる。
・測量屋さんの間では単に「トラバー」と言ったり、この観測点の事を「トラバー点」「トラバー」 と呼んでいる。
基準点測量  ・測量の基準となる測点を設置(決定)する測量。
 その後の測量の基準になるので、とても大切です。
成果表  三角点や水準点等の基準点、または通常で設置する基準点の成果(諸元)を記した表。点の名称、 等級、緯度経度(種類や等級により省略)、座標値、標高、隣接する他の基準点への距離と方向  角等が記されている。1等三角点成果表、2等水準点成果表、3級基準点成果表など 
 点の記 三角点や水準点等の基準点、または通常で設置する基準点の属性を記したもの。その基準点の所  在地、土地の所有者、位置図、車止めからの距離、到達時間、選点者、観測者、基準点の形状
(石杭・金属標
etc)等が記されている。
昔の三角点点の記には、資材を調達した場所及び費用、測量班が泊まり込んだ宿場名、現地で調  達した作業員の賃金等が記されている。
 
 地形測量
平面図
現況地形の測量ということですが、現状を平面上の絵とするには決まり事が必要です。普通国土  地理院の地形図や学校で使う地図などは、5万分の1とか500万分の1など分母数の大きな地  図(小縮尺図)ですが、工事計画や地籍測量のためには250分の1、500分の1という分母  数の小 さな図面が必要になります。これを大縮尺の地図と言います。
・大縮尺の地図を書くのに小縮尺の図式を適用するわけにはいきません。そこで決められているの  が、「大縮尺地形図図式」です。
・現地で測った点を展開し、同じ高さを結んだ線が等高線(コンター)、同じ属性を持つ点を結ん  だものが、例えば建物、或いは側溝、垣根、ガードレールなどになります。出来た地形図は図化  されますがそれを平面図(地形図)と呼びます。
・現地での測り方は以前は平板測量(平板と呼ばれる40cm×50cmの板にケント紙等を貼り、基準点  に設置して、方向と距離を測定して縮尺に応じてプロットする。必要な点を結びながら地形図を  描いていきます。)が主流でしたが、現在では光波測距儀による、TS地形測量が主流になりま  した。
・TS地形測量は観測データをコンピュータ内に展開し、CAD上で作図していくものです。共通  のフォーマットを使うことにより、データの受け渡しが容易に出来るのことが大きなメリットで  す。
 
水準測量  ・高さを求める測量です。既に決まっている高さの基準点(水準点といいます)から、新しく求め  たい点までをレベル(水準儀)と標尺を使って、2点間の標高差を求めます。
・日本には東京湾平均海面の高さを基準にした水準網が全国に廻っており、殆どの測量や工事はそ  れらの水準点を使って高さを決めています。また、局地的な測量ではその場だけの高さを決めて、 用いることがあります。
・レベルには気泡合致式のものや、水平を自動調節するオートレベル、最近では標尺にバーコード  を使ったレベルも増えています。
 
中心線測量  ・道路工事や水路工事の中心線(センター)を決める測量です。
・現地での条件点(この家のブロックにはあたらないようにする..とか、あちらの構造物の角か  ら1m離す..などの条件が与えられたとき)を加味して計算し、現地への設置(杭等を打つこ  と)を行います。これを逆打ちといいます。
 
逆計算(逆打ち)   中心線の欄で述べましたが、既に決まっている座標値の点を現地に設置すること。基準点にトラ  ンシットを据え、その基準点と打ちたい点の座標差から距離と方向角を計算し、基準方向からの  角度で向ければその線上に点が来ることになり、後は距離を測りながら遠近で調節して杭なり鋲  なりを打設します。間違いが入り込みやすい作業なのでこまめにチェックします。
縦断測量  ・現地に設置した中心点の進行方向に高さを求めることです。距離は既に路線計算をした時点で決  まっています。レベルと標尺を用いて測り、その結果を縦断図に表します。
・縦断図はその路線の勾配を見るためのもので、縮尺は通常、水平方向は平面図の縮尺と同じにし、 垂直(縦軸)方向は100分の1とします。
 
横断測量  ・現地に設置した中心線の各測点について中心線の直角方向に断面を切ります。実際には断面方向  上の変化する箇所や構造物などの高さと、中心点からの距離を測りそのデータを図化します。
・図面の縮尺は縦断図の縦軸方向と同じ縮尺、通常100分の1とします。
 
路線測量  ・中心線測量、縦断測量、横断測量までの一連の測量を総称して路線測量といいます。 
用地測量  ・計画に基づいて、必要な用地を取得するための測量。
・内容としては、公図・土地登記簿等の法務局調査、現地での境界立会、境界点の測量、そのデー  タに基づいた面積計算、用地実測図の作成、権利者の確認調査など。特に面積計算のことを丈量  という。
 
平面直角座標系
縮尺系数
 
 「与えられた任意の1点の位置と高さを決定する..」と書きましたが位置の表し方として、  どういう方法があるでしょうか?
・緯度経度で表す方法。東経何度、北緯何度というあれです。これだと地球上のどの地点でも位置  づけることが出来ます。しかし欠点は計算しにくいことと通常はそんな広範囲には必要ないこと  などです。
・方向と距離で表す方法(ベクトル)。例えば6時の方向に120m行った地点..というやつで  す。カーナビ等に利用され、目的地に向かうには都合がいいのですが、ある2点の位置をこの表  し方でいわれてもその2点の絶対位置がつかみにくいのが欠点です。
・予め決められたオブジェクトを使う方法、埼玉県秩父市○丁目□番..古くから使われています  ね、住所、所在地。最近ではコンピュータの普及でアドレスと呼んだ方がいいのかもしれません。
・そしてこの欄のメインである座標です。学生のころ頭を悩ませましたね..X=5.3、Y=10.7な どというやつです。X軸とY軸の交点が0で原点になります。数学ではY軸が縦軸ですが測量では X軸が縦軸になります。一般的には何処でも原点を決め、基準の方向を0(縦軸)とすれば任意の 座標系が出来ます。任意座標(系)、局座標(系)といいます。
・広範囲な測量(道路やトンネルを計画したり、広い敷地を測量するなど)では各箇所の位置関係  がしっかり決まっていないと、とんでもないことになります。そこで、日本を19の座標系に分け、 それぞれ原点を決め、原点から東西130kmの範囲を平面とみなし、ひとつの座標系として処理して いる。それを「日本平面直角座標系」といいます。
・平面距離と球面距離の比率は、原点で0.9999(平面距離が球面距離より1万分の1短い)、東西  90kmで1になるように設定されています。この比率のことを縮尺系数と呼んでいます。
地図投影法  ・球体である地球表面を平面である紙に地図として表す方法。地図の使用目的、用途に応じて様々  な方法が考え出されています。
・投影面の形状によるもの・・・方位図法、円筒図法、円錐図法
・投影中心(視点)の位置や条件によるもの・・・投射図法−−心射図法、内射図法、平射図法など
・         〃         ・・・条件図法−−正積図法、正角図法、正距図法
・その他、投影面の設定位置による分類、地軸に対する投影軸の関係位置による分類があります。
・基本的な考えとして、球体を平面に完全に展開することは不可能です。そこで目的に応じ、例え  ば面積を正しく表したい..だとか磁石の方向に沿って進めば目的地に着くだとかで考え出された  ものです。
・私たちに身近な投影法は、現在日本の地形図、地勢図等に使われている「ユニバーサル横メルカ  トル図法(UTM図法)」です。詳細は省きますが、正角図法なので、2点間を結んだ方向に沿  って進めば目的地に着けるという特徴があります。地形図とはちょっと違いますが、海図にも使  われています。
  参考:「地図と測量のQ&A/(財)日本地図センター/平成15年5月」
・もっと詳しく知りたい方は佐藤善幸氏のH・P「世界地図を作ろう」をご覧ください。
 
GPS(測量)  ・Global Positioning System(汎地球測位システム)。航空機や船舶などが運航中に自分自身  が何処にいるのかを知るための衛星航法システムをいう。このシステムを測量に利用したのがG  PS測量です。
・現在米国のGPS衛星は27基打ち上げられ、地球の周りを回っています。鳥籠の様な状態で回っ  ていると考えて下さい。衛星が見えるとすると、普通の場所であれば空を見上げて5〜6個の衛  星が常に見えている状態になります。各衛星には番号が付けられ精密な時計が搭載されています。 それら複数の衛星から発信される電波を同時に受信し、時間差から位置を決定します。
・今流行りのカーナビはGPSを使った一番身近なものです。精度こそ一般の測量に比べ落ちます  が十分使用に耐えられる精度です。
・測量の場合、精度を上げるために、既知点と求める新点を同時に観測し、得られたデータを解析  してその位置関係から必要な点を求めます。
 
GIS  ・Geographic Infomation System(地理情報システム)。GPSとよく間違われます。地図と言  えば皆さんご存じのとおり、地形に道路や鉄道・建物といった様々な要素が所狭しと記されてい  ます。その地図はその目的だけのものであり、違う目的で欲しい地図は別に作り直さなければな  りませんでした。
・GISでは地図と様々なデータをコンピュータ内で管理し、互いに関連づけをして、目的に合っ  た地図やそれに付随するデータをすぐに取り出すというものです。
・例えば、面積60ha以上で人口3万人以下の市町村を選び出し、公立の小学校を表示する...といっ  た事を素早く行うものです。勿論目的に応じたデータの作り方をしていないとだめです。GIS  の考えとして身近なものは先ほどのカーナビでしょう。
・GISはエンジンと呼ばれる基本ソフト、膨大なデータとそのデータをより使いやすくするため  の関連ソフトからなっています。GISの得意なことは、行路の計算(最短距離など)、目的デ  ータの抽出、縮尺に応じた地図の表示等説明するのもめんどくさいほど沢山あります。
・最近各分野で注目され、様々な利用方法が考え出されています。
 
下げ振り(垂球)  ・ある程度の重さの金属に糸(細い紐)を付けたもの。形は円錐と半球をくっつけたようなもので  す。(右図)糸はなんでもいいという訳ではなく、張力がかかったとき左右どちらにも回転しな  いことが条件となります。
・大工さんは家の傾きを見ますし、測量業での使い方の一例として、斜面で巻き尺を使うとき、垂  球をたらし杭の中心を巻き尺の位置に上げてきて距離を読みます。もっとも単純でしかし効果の  ある測量道具?だといえます。
 
 サンスケ ・銭湯で背中を流す人...ではありません。三角スケールの略です。早い話、色々な縮尺が書いて  あるモノサシです。断面が三角形状なのでこう呼ばれます。
・建築・設計・製図・測量関連の人の必需品。大きさは、手頃のものが長さ15cm、大きなもので   30cmの長さです。大体1本のスケールに6種類の縮尺が刻んであります。用途に応じて縮尺構成  の違うものを使いますが、測量では100、200、250、300、500、600の分母のものが主流です。
 
距離を張る  ・普通に言うなら距離を測る。巻き尺を使って距離を測る方法が主流だった頃からの言葉でしょう。 ところが今現在、光波測距儀になっても「距離を飛ばす」や「距離を出す」とは言わずに「距離  を張る」と言っています。(勿論そうは言っていない測量屋さんもあると思いますよ...) 
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